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あなたを失ってはじめて知るなんて『あさきゆめみし』千秋楽

こんなに涙が出るとは思わなかった。
ラスト、あの真っ白な飛翔シーンが涙でにじんで更に真っ白にかすんで見えなかった。
フィナーレ、あのキラキラスパンコールの衣裳が涙で更にキラキラ輝いていた。

『あさきゆめみし』千秋楽・・・凄かった。

オサさんは源氏であり、源氏はオサさんになっていた。
公演中は感情が入っているとはいえ、ある程度バランスを保たれていたものが
千秋楽では、全てが解き放たれていた。

藤壺が死にオサさん源氏が「藤壺の宮ぁぁーーー」と叫ぶシーンに
何度か見た涙は無かった。
でも、いつもより激しい絶叫が3階席にいた私の胸を貫いた。
瞬間、私の目に涙が溢れた。

柏木への嫉妬の炎はいつもの倍燃え上がり、3階席まで燃えつくした。
柏木の三の宮への恋文を見つけたオサ源氏が言う
「この文字には見覚えが…」の“見覚えが”の言葉に怒りがこもっていて好きだった。
その文を振りながら前に出てくる振りが、いつもは若干控え目だったのが
今日はいつもより多く激しく振っていたように思う。

そしてあの歌。

「愛がねじれて どす黒く流れる 地獄に堕ちろぉぉぉーーー」

あー好きだ。この歌が大好きだ。そしていつもの倍以上の迫力で恐ろしいまでの
嫉妬に狂うオサ源氏は美しかった。そしてオサ源氏の目にはこの瞬間涙が流れていた。
いつものシーンではなくこのシーンで。
(しかし、あの迫力では柏木が気に病んで死んでしまうのがわかる気がする)

オサ源氏が組子を見る目があたたかく、みながオサ源氏を見る目があたたかかった。

彩音ちゃんはいつも“オサさん大好き”って表情でオサさんを見つめる。
彼女の白さが好き。あの奇跡的な清廉さ。
源氏が死ぬまで心に想った藤壺の宮、そして紫の上。
彩音ちゃんはまさに藤壺の宮、そして紫の上としてオサ源氏を愛していた。
千秋楽、オサ源氏を見つめ涙する目はどこまでも澄んで美しかった。
今、彩音ちゃんがオサさんの相手役で良かった。

壮くん頭の中将とのシーン。唯一源氏がほのぼのしているシーン。
明智と浪越を思いおこす二人の佇まいは、現実の二人を彷彿とさせ微笑ましい。
オサ源氏が安心して心を開け放せる人。
源氏が頭の中将を見る目が暖かい。頭の中将が源氏を見る目が凄く暖かい。

そして、オサ源氏が“惟光、良清”を呼ぶ暖かい声が好き。

刻の霊まとぶんは、控えめに、抑えて抑えて刻の霊を演じていた。
もっとぶっ飛ばして…と思う事もしばしばあったが、あれがまとぶんの霊だ。
千秋楽、いつもの様に抑えつつもラスト源氏が死に、刻の霊まとぶんが去り際に
歌う瞬間、抑えていたものが溢れ出すように声が裏返った。
感極まる刻の霊まとぶん。
その瞬間、私もそれを合図に感極まり、堰を切るように涙が溢れ出した。

後は“飛翔”からフィナーレまで良く覚えていないぐらい泣いた。
滂沱の涙ではなく、咽の奥がきゅーーっと痛くなる涙。
終わることが寂しくて悲しくて切なくて。

カーテンコールでのオサさんの明るさが、みんなの明るさが嬉しかった。
暖かい暖かい空間。宝塚がまた一つ好きになる瞬間。
ありがとう!ありがとうオサさん、花組のみんな。

そして、この『あさきみめみし』という作品を今、
この時に上演してくれてありがとう。
最初、特にラストらしい公演も無く、和物、再演というこの作品に
余り多くの期待は無かった。
1回でも多く宝塚の舞台に立つオサさんを見たくて通うつもりだった。
でも初日を観て、2回目まで1週間開いた日々、
ずっとオサさんの歌声が頭に鳴り響いていた。
2回目を観た瞬間、この作品がどんなにオサさんにとって、私にとって
特別な物になりうるかがわかった。
特別なファンのみに許された空間で無かったのが嬉しい。
この時に、一人でも多く初めてオサさんを観る人がいただろう事が嬉しい。
私でも5回も観ることが出来た。仕事がきゅうきゅうでほとんど徹夜で観た日が
多かったけど、それでも劇場に行く事が楽しみでしかたがなかった。
切れ切れでバラバラのシーンではあったけど、もっと描いて欲しいシーンはあったけど
それでも、一つ一つどの場面も美しく、大切な大好きな場面となった。

続く。
by glikoma | 2007-07-25 01:54 | 花組


人生もとっくに折り返したというのに宝塚と出会い軸道修正を迫られつつも猫とまったり暮らす日々。glikoma508@yahoo.co.jp


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